Ise Province: three legged jar. Preserved at Inatomi Jinja, Suzuka-shi, Mie. Dated Katei 2(1236). Height 17.5cm.
三重県鈴鹿市稲生町伊奈富神社伝世
嘉禎二年(1236) 銘
高さ17.5cm 口径8.9cm 胴径19.2cm
伊奈富神社に伝世されたこの壺がどこで焼かれたものであるか未だ判りません。形態の上から平安後期の灰釉四足壺の系譜をひくものでしょうが、瀬戸・常滑など中世の東海諸窯には絶えてみることがありません。幻の伊勢窯産でもありましょうか。伊奈富神社の西方丘陵は伊勢最大の古墳時代の須恵器窯跡群の分布地域であり、奈良・平安時代には隣接の徳居古窯跡群に引きつがれました。このような窯業生産の歴史を考えるならば、未知の中世窯がこの近傍に存在するかも知れません。
胴に墨書で嘉禎二年内田 白子八郎兼文