色絵蓬萊山葵紋茶碗

色絵蓬萊山葵紋茶碗
Picture of 鶴田 純久の章 お話
鶴田 純久の章 お話
色絵蓬萊山葵紋茶碗
色絵蓬萊山葵紋茶碗

Tea bowl with hollyhock crest and design of Hōrai (pine, bamboo, plum,crane and tortoise), enamelled ware
Mouth diameter 12.0~12.6cm Fushin-an
高さ8.1cm 口径12.0~12.6cm 高台径4.8cm
 不審表千家不審菴に伝来した茶碗で、箱の蓋裏に「仁清茶碗 例歲正月ニ用ル 不審庵」と了々斎が書き付けています。しかし蓋表に 「大井戸茶碗 元禄元年辰九月」 と記されていますので、もとからの箱ではなく、後に空箱に納めて、了々斎が書き付けしたもののようです。この茶碗の写しを後に永楽保全が作っていますので、表千家では正月茶碗として例年用いて、同門の間では知られていた名物茶碗らしいです。黄みのある釉調などから推して仁清の作とは思えませんが、形や高台の躍りなどが仁清の風とよく似ていますので、了々斎は仁清と見立てたのでしょう。高台に印はありません。
 外側には三方に三葉葵の紋を配し、正面には松竹、鶴亀のいわゆ文様 背面には注連縄と宝尽文などを青、紫と金彩で描いていますが、繊細な土佐派風の筆行きです。徳川家の定紋をみだりに用いることができなかった時代ですから、しかるべき由緒のある茶碗であったにちがいなく、不審庵に伝来したことは紀州徳川家からの拝領ではなかったかと推測されます。

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