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鶴田 純久の章 お話
灰釉茶碗
灰釉茶碗

Tea bowl, ash glaze, Shugakuin ware
Mouth diameter 12.2cm Tekisui Art Museum
高さ6.9cm 口径12.2cm 高台径5.1cm
滴翠美術館
 内箱蓋表に「修学院焼 御切形御茶碗」 と書付され、左上に「曼「殊院殿」と書かれた貼紙があります。さらに、外箱蓋表に 「修学院焼御茶碗 拝領」、裏に「曼殊院宮御蔵器之内 ヤフ内(花押)」 とありますが、以上の書付などから推測しますと、御水尾院の切形によって作られた茶碗が修学院の近くにある曼殊院宮門跡に贈られ、それを後に、藪内氏が拝領したものであったらしいです。「隔蓂記」 の寛文七年十二月九日の条に「修学院離宮焼御茶碗 御花入 水次 御筆濯」 とありますが、おそらくこのような茶碗が院の好みとして作られたのでしょう。
 薄手のゆったりとした椀形に轆轤びきして胴を締め、外側口辺に四段に細い筋をめぐらし、浅く削り込んだ高台内は、その作行きに仁清の茶碗と似通った趣があります。総体に薄く釉がかけられ、胴の一部にやや濃く薄緑の釉が漂っています。高台畳付に目跡が六つくっきりと残り、高台内左に小判形の印を捺していますが、文字は判然としません。修学院焼を考察するうえで貴重な遺品です。

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