大西定林作。
四角形の筒釜であるが、上部が井桁になっている珍しい形の釜である。
口造りは皆口で、蓋は四角形の共蓋で、円形の落込みをつくり、中心に環形の摘みを付けている。
井戸より水を汲む感じを表わす釜で、その発想が面白い。
同じような形式の釜は多く、蓋の摘みと銀付に「見ざる、聞かざる、言わざる」の三猿をあしらった定林(一七二七)作の「井桁釜」がある。
この釜はそれよりも単純であるが、作行きも似ており、定林作といえよう。
定林は大西浄清の子で、江戸大西家の祖であり、変化に富んだ形姿の釜をつくっている。
【付属物】極書―大西清右衛門筆
【寸法】 口径:11.5 胴径:12.0