口造りは低い繰口で、胴は「蒲団釜」の四方を切りとったやや背の低い方えみよう形をし、二方に与次郎風の鬼面鐶付を付けている。
肩は四隅が撫肩になり、釜肌は細かい荒肌をし、唐金の恵明蓋を載せている。
安定感のある形姿は簡潔な美しさがある。
「四方釜」は「名物釜記』に「四方升釜 利休「所持」とあるように、利休好みのものが著名であり、利休百会では最も多く用いられており、利休の最も好んだ釜と考えられる。
「四方釜」には種類が多く、与次郎・弥四郎・藤左衛門などによってつくられている。
これは利休好みの「四方釜」を祖形に、少庵好みによってつくられた四方釜である。
【寸法】 口径:14.3 胴径:22.0