薩摩 銘乃の宮
付属物 箱 桐 白木 書付 小堀権十郎筆
寸法
高さ:8.5cm 口径:9.5―10.1cm 胴径:10.4cm 高台径:8.0cm 同高さ:0.9cm 重さ:355g
薩摩焼の茶碗の中では、名品として珍重がられていますが、筆者はあまり好みません。その理由は、図版を見ればわかるように、技法が複雑すぎ、作品からは何となくかたさを感じさせるからです。
「佗び茶」というのは、どこかとぼけていて、ざんぐりとして、しかも堂々とした茶碗を理想とします。 その点で、この茶碗だけにかぎらず、薩摩焼は釉が何段にもかけあわされて、その結果生まれてくる釉の景色の面白さを珍重がる。薩摩焼茶碗の見どころはそこにある。だからそういう点から見ますと、たしかに逸品です。
釉の変化も実に多彩で、見込みの景色も、高台あたりの感芯もよいです。
「乃の宮」という銘は、京都の嵯峨にある野そ宮の鳥居は、木をけずらず、自然木のままを使いますが、それが黒ずんだ色を、この茶碗に味わおうとしてのことだといわれますが、なるほどと思わせます。
乃の宮 ののみや
薩摩茶碗。釉の変化が多彩で、見込の景色にも、高台近くの作振りにも茶情が濃いです。この茶碗に限らず薩摩焼は、釉が何段にもかけ合わされて、その景色の面白さを珍重し、見所としています。嵯峨の野宮の鳥居は木を削らず使いますが、その黒ずんだ色をこの茶碗に見立てて命銘したといわれます。釉を二重がけにするというやや進んだ釉法、薄い腸洒な造りなどから、遠州の好みを感じさせます。同種茶碗の中では、名品として珍重されている尤物です。《付属物》箱-桐白木、書付小堀権十郎筆《寸法》高さ8.5口径9.5~10.1 胴径10.4 高台径8.0 同高さ0.9 重さ355