化学的には酸化第一銅と酸化第二銅とがあるようで、前者は赤色酸化銅または亜酸化銅、後者は黒色酸化銅または単に酸化銅と呼ばれます。
わが国在来の銅緑釉には、鍛工が銅板をつくる時のヘゲという酸化銅を利用する風がありました。
古代エジプトのガラス絵の具の成分をみますと、銅分の少ない方が青色で多い方は緑色になっています。
中国漢・唐代の鉛質緑釉も酸化銅の呈色とみられます。
これらはいずれも酸化焼成の場合でありますが、還元焼成の場合には、銅のコロイド質により美しい紅色を呈し、すなわち辰砂釉となります。
(塩田力蔵)