書名。
横本全一巻、欽古堂亀祐著、1830年(文政一三)刊行。
五十項目に分けられ、磁器のことを主とし、窯式、窯積、諸道具、素地、釉薬の調合法、青磁の法、錦焼および交趾焼の法など、多くの図を挿入して説明しています。
当時のこの種の刊本としては記述が科学的で十分指南の意を尽くしており、貴重であります。
文政戊子(1828)夏日可亭道入の序があるようで、その奥付には「諸焼物薬絵具調合所平安城伏見街道一ノ橋下ル欽古堂亀助」とあります。
なお『瀬戸陶業史』に「曾て亀祐尾張瀬戸に到り川本貞二と相謀り『陶器指南』なる書を著し陶器の製法を世に公にせんとしたるも官の忌避にふれその原稿を没収せらる」とありますが、それは原稿ではなくて印本であるだろうかと推定されます。
昭和になって陶器全集刊行会から河村蜻山の注解を付して複製刊行されました。