薄い器体、外開きの撥高台など、やや背は低いが典型的な呉器の姿で、肌の色が紅・青と、美しい秋の山をみるようである。日本の「茶」の器物は、その性格がその時代性とともに変遷してくるが、こうしたおだやかな作振りのものが好まれるのも、江戸の幕藩体制が整い、時代の落ち着いたところと符合するのである。腰および高台外部に一部釉のかからないところがあるのは、施釉する折につかんだ指痕で、それがまた一つの景色となっている。見込中央に轆轤目が浅くめぐる。【付属物】箱-桐白木【伝来】浅野家【寸法】高さ7.8~8.4 口径13.3~13.9 高台径6.3 同高さ1.3 重さ341