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鶴田 純久の章 お話
橋立
橋立

中興名物。破風窯茶入、橋立手本歌。
置形黄釉なだれの中に里一い一筋があるのを天の橋立に見立てた銘であります。
肩はきっかりと衝き、置形の黄釉以外は全部黒渋釉で、胴が締まり腰は張り姿の極めてすぐれた茶入であります。
もと松平備前守所持、京都三井家、大阪鴻池家を経て井上世外に移りました。
(『大正名器鑑』)

はしだて 橋立

瀬戸破風窯茶入、橋立手本歌。
中興名物。
置形の景を天の橋立に見立て小堀遠州が命銘したものです。
破風窯の中でも、この形は珍しく同種がありません。
もと松平備前守正信の所持で、明和(1764~72)の頃、京都の三井家に渡り、のち大阪鴻池新十郎の所持となり、明治三十五年頃、井上世外に譲られました。
茶入の容姿は、口が広く捻り返しが浅く、甑が低くて、肩はかっきりと衝いています。
腰が張り、裾以下は赤みを帯びた白土で、広い底面の中央にわずかに糸切が残っています。
総体に黒みの茶釉がかかり、きめ細やかな釉だちの間に口造りから正面に黄釉がなだれて、その中にさらに青黒き一条が垂直に下がり、見事な景色をみせています。
家のタガヤサン凹彫緑青入の字と、内箱の書付が小堀遠州で、さらに古筆了意の挽家の字の極めが付随しています。
そのほか 『古今名物類聚』『名物目利聞書』『伏見屋筆記名物茶器図』 『遠州所持名貨帳』 など茶書にも所載されている名物茶入です。
なお同手の類品は少なく、名物としては本歌のみが記録されています。
【付属物】蓋 仕覆―四、住吉緞子・萌黄地古金襴・鶏頭裂・白地角龍金襴(図版右より) 挽家―鉄刀木、凹彫緑青入、書付小堀遠州筆 松木盆 内箱 桐白木、几帳面、書付同筆 外箱 黒塗 総箱―桐白木、金具付 極め古筆了意筆
【伝来】松平備前守正信―京都三井家―大阪鴻池新十郎―井上世外
【寸法】 高さ:7.2 口径:3.5 胴径:6.1 底径:4.3 重さ:132

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