中国明代の三彩磁器。
もっぱら彫紋素地に色釉を掛けたもので、主として赤・緑・黄、または赤・緑・白の配合を用いています。
線刻の方法には三種があります。
粘土の細線で輪郭を描き細部を薄肉彫りとしたものがそのI、半肉彫りまたはこれに透彫りを交えたものがその二、唐代と同じく線彫りをなしたものがその三であります。
この線彫り輪郭内に各異色を填彩して彩文を鮮明にします。
釉の成分はアルカリ鉛珪石質で金属酸化物で発色させます。
すなわち銅によるトルコ青と緑、過酸化鉄による黄、マンガンによる紫、コバルトおよびマンガンによる暗い董がかった青などであります。
そして意匠により白地を要する場合はその部分に無色釉を施します。
時によっては素地そのままを残すこともあります。
三彩磁中で時代の古いものは釉調に深みがあるようで、やや不透明で厚く、時代の若いものは次第に釉が滑らかに薄く一層透明となる傾向かおります。
総じて装飾効果が雄渾だから特に蓋付酒壺・瓶・檄座・花瓶・大皿・金魚鉢などのような大作厚手物にふさわしい手法であります。
(『古陶甕図譜』)