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鶴田 純久の章 お話
蹲・踞 うずくまる
蹲・踞 うずくまる

伊賀や信楽で壺の背の低い背丈からむっくりした形の小壺のこと。その形がさながら人がうずくまっているような形なのでこの名称がつけられました。
本来、農家の雑器で種壺または油壺であったが、茶人が花入などに用いて珍賞されていました。
古信楽などの小壺。茶壺に似て形は小さいです。底が大きく人が蹲って坐っているような形で、首が傾いているのもおもしろいです。古信楽・古伊賀の蹲には二種があり、高さ二〇センチ程の壺形のものはもと農家の豆入または茶壺に用いられたもの、高さ一一、二センチ止まりで人が坐っているような形のものは同じく油壺に用いられたものであります。
どちらも農家の副業として室町時代以前につくられたもので、後世茶人の好みから花入に転用され佗びものとして珍重されました。
とりわけ蹲として茶人が推重するものは油壺に用いられたものに多く、形が奇で底は焦げ、口元から肩先に厚い青萌黄の流れた具合は、茶人に惜しげもなく大金を出させるものがあります。
なおときどき古信楽・古伊賀以外にも形の相似から唐津うずくまるなどの称呼があります。
(『伊賀及信楽』塩田力蔵)

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