志野 竹の子文 向付 銘 玉川

志野 竹の子文 向付 銘 玉川
Picture of 鶴田 純久の章 お話
鶴田 純久の章 お話
志野 竹の子文 向付 銘 玉川
志野 竹の子文 向付 銘 玉川

Shino mukozuke (smalt dish or bowl tor vinegared food) bowl with bamboo shoot design. known as ‘Tamagawa’
Diameter 9.9cm Tokugawa Reimeikai Foundation
高さ9.2cm 口径9.9cm 高台径6.5cm
 徳川美術館
 今では茶碗に用いられていますが、もとは向付として作られたものでしょう。しましたがってその形も低く広い高台が付いて、典型的な茶碗とは作行きが異なっています。しかし、茶碗として用いてもなかなか味わい深く、楽しいものでしょう。端正な筒形に轆轤びきされた胴に大小二本の竹の子が描かれ、全体にかかった白釉はよく溶けています。しかも、見事に赤い焦げが生じて味わいを高めています。この茶碗は、荒川豊蔵氏が昭和5年に初めて手にして、その美しさに惹かれ、あるいは美濃の窯のものではありませんかと考え、美濃の山々を歩き、大萱の牟田洞古窯趾でこの向付と同じ絵の破片を採集したといいます。荒川氏にとって大変因縁の深い、また志野といいますものが美濃で焼かれましたことが明確に判明するに至った過程において、重要な意味合いをもった資料でもあります。竹の子の裏面には山と檜垣の絵が描かれています。

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