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鶴田 純久の章 お話
伊賀耳付水指 銘破袋
伊賀耳付水指 銘破袋

重要文化財 高さ21.3cm 口径12.5cm 左右23.9cm 底径17.5cm
五島美術館
 藤堂家に伝来したもので、大正十二年の関東大震災で元箱は焼失した。
その際に、やはり水指に添っていた大野主馬宛の古田織部の消息も失われたが、その消息の文面は以下のようなものでありました。「内々御約束之伊賀焼の水指令進入候 今後是程のもなく候間 如此候大ひゝきれ一種候か かんにん可成と存候 猶様子御使に申渡候 恐惶謹言 霜月二日 (花押)古織部 大主馬様 人々御中」。これによると、いい伝えのように古田織部は伊賀焼とかなり密接な関係にあったことがうかがわれ、ことに「大きなひび割が入っていますが、今後これほどのものはできない」と記しているのが興味深い。
 ふくらんだ胴に大きな窯割れが一筋。小さく縦横に一筋ずつ入っています。全体厚手で、いかにもどっしりした伊賀焼ならではの力強い作振りであります。胴の上部には七本の横筋をめぐらし、左右に長方体の耳をつけ、底は平らに成形されていたが、焼成中に窯割れなどが生じて姿が大きく歪んだため、後に前二方に小さな脚をつけて傾きを補正しています。若草色の灰釉が正面にずっぽりとかかり、背面と底はほのかに赤く焼き締まって、底に円形の大きな置跡が残っています。本来「破袋」の銘はなかったが、重要文化財指定に際して名付けられた。

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