二説があります。
一つは蟹爪のような形をした開片すなわち裂文であるといい、その基づくところは『博物要覧』の「官窯質の隠紋は蟹爪の如し。
脊窯質の隠紋は魚子の如し」という章句にあります。
右の隠紋が開片の意味であるなら蟹爪文もまた開片の一つであるはずであります。
西洋人は一般にこれを開片の一種と解して疑わないようです。
もう一つは蟹爪文を小さい円点てあるといい、その基づくところは『遵生八賤』の汝窯の項に「汁中の椋眼は隠れて蟹爪の如し」とあるのによります。
すなわち椋眼が円いものなら蟹爪文もまた円いはずであるとするのであります。
この説をとる者がわが国にあります。
(尾崎洵盛)