火焔型土器 かえんがたどき

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鶴田 純久の章 お話

中部・関東地方における中期縄文式土器は、躍動的な隆起線文の発達によって経文式土器の一つの頂点を極めており、世界の石器時代土器の中でも優品に属しています。
火焔型土器の名で親しまれている土器(中期中頃の馬高式)はその一つの典型であって、新潟県長岡市馬高遺跡で出土した二個の土器が代表例をなしています。
口縁部の四方に鶏状の把手を配し、その頂部と把手部以外の口縁部には粘土紐で小波状をつくり出し、それぞれの把手の下には環状の耳を設け、隣の耳との間には渦巻文を二つ彫ります。
胴部の文様は把手および環状耳を目安とする四つの区画面に彫り、上端に渦巻文をその下に平行直線文を配します。
把手の自由奔放さに比較しますと、環状耳の間、および胴部上端においた渦巻文は流動性が欠いています。
馬高遺跡出土のこの二つの土器は把手の表現が左右逆であるほかは酷似しますが、同遺跡ではこの他にこの二土器の先行形態とみるべき土器も出土しています。

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