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鶴田 純久の章 お話

滑石には二義があります。
一つには、中国景徳鎮で使用していた磁土の一種でその分子がこまかく滑らかなものをいいます。
単味あるいは白石と配合して素地に用い、その質はよく釉の光沢もまたよいです。
しかし釉色がすぐれないので官古器の製作には用いられることが少なかったです。
小型物の製作によく用いられ、また洋器に使用されては滑洋器と呼ばれて重んじられました。
二つには、珪酸苦土鉱物から変化し生成したもので含水珪酸苦土鉱であります。
脂肪のような触感を与えるので含水珪酸磐土鉱と並んで蝋石と呼ばれることがあります。
その質は緻密で、塊状をなすものを凍石、その不純なものを石鹸石(ソ一プスト一ン)といいます。
中国遼寧省瀋陽付近、朝鮮咸鏡南道・忠清北道はその産地として知られています。
陶磁器工業においてはその化学成分を利用して素地・釉薬などに使用しています。
また土器の混和材としても用いることがある(「土器製作法」の項参照)。
(『陶説』山沢逸雄)

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