Picture of 鶴田 純久の章 お話
鶴田 純久の章 お話

Large deep bowl with flower-and-bird design, enamelled ware
Mouth diameter 30.4cm Tokyo National Museum
Registered as Important Cultural Property
高さ21.0cm 口径30.0~30.4cm 底径16.4cm 重要文化財
 東京国立博物館
 第二次世界大戦が終わるまでは、わが国には柿右衛門様式の大深鉢はこれ一点しか知られていなかったようです。大作であり、上絵の文様、色調ともに優れていますので、柿右衛門様式色絵の名作として昭和二十七年重要文化財に指定されました。しかしその後、かつてオランダの東印度会社によって輸出されていました有田の色絵磁器の優品が次々に請来され、深鉢では図7や図93の優れた作品が見られるようになりました。あとの二点はこの深鉢とまったく同様の意匠で、しかも蓋を伴っていますので、かつてはこの深鉢も図7と同じ形式の蓋を有していたことは明らかであります。
 図7と同様の意匠を胴の前後にあらわしていますが、この深鉢の方がやや大振りでありましたためか、あるいは焼造年代がいささか遡るのか、文様の描写は図7よりものびのびと勁く流動的に描かれています。
 一般の乳白手色絵とちがって、口辺や胴裾、さらに高台にめぐらされた文様の区分線が赤の上絵ではなく、染付であらわされていますのがこの種の蓋物の特色であります。やはり延宝年間の作と推測されます。

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