Suzu ware: wine vase. Excavated at Eizenji, Uedo-machi, Suzu-shi, Ishikawa. 13th century. Height 24.9cm.
石川県珠洲市上戸町永禅寺出土
13世紀
高さ24.9cm 口径12.4cm 胴径22.9cm 底径9.5cm
平安時代須恵器の一つである広口瓶の後身とみるべきか、古瀬戸瓶子の影響とみるべきか議論の分かれるところですが、いずれにせよ珠洲焼としてはきわめて稀な瓶の一つです。砂粒質に富んだやや粗い陶土を用い、紐巻き上げ、叩き成形の後、粗い箟削りによって器面調整を施しています。太い口頸部や強い肩の張り、小さい底部に付けられた高台をもった器形はその製作年代が鎌倉中期を降らぬことを示しています。やや焼きがあまいですが、漆黒色のような器肌の色調は珠洲焼のなかでも最も黒という色感を強調した時期の作品でしょうか。力づよさの溢れた珠洲焼の代表的な作品です。