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鶴田 純久の章 お話
三彩 壺
三彩 壺

Three-color glazed ware: covered jar. Excavated at Taishokkan-yama, Ibaraki-shi, Osaka. 8th century. Height 15.7cm.Cultural Property. Tokyo National Museum.
大阪府茨木市安威大職冠山出土
8世紀
総高 15.7cm 身口径12.2cm 胴径21.0cm
重要文化財
東京国立博物館
 この壺は明治末年、同地の一墳墓から蔵骨壺として石櫃に納められて出土したもので、長らく故益田孝氏の珍蔵でしたが、いまは東京国立博物館に寄贈されています。
 本器はよく完好な形を保っていますが、長らく土中にあったため、釉の風化剝落がはげしく、とくに身の方がいちじるしいです。蓋は肩から下縁にむけて拡がった古式の形をしており、宝珠形の紐も高く古い形をしています。身は肩の張った高台のない短頸壺で、肩から胴下半にかけ、四段の二重沈線が施されています。器形からみて奈良時代初期にぞくし、現在知られる三彩釉器としては最古のものです。
 石櫃は一辺約67cm、高さ36cmの方形の身の中央に方縁を繰り出し、径27cm、深さ16.5cmの円孔を穿ったもので、これに高さ約23cmの方形の蓋を被せたものです。奈良時代の三彩蔵骨壺は現在四例知られていますが、本器と和歌山県高野口例は石櫃に入って発見されており、それが当代の蔵骨器収納の典型的な形でした。

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