高さ15.4cm 口径12.4cm 胴径22.8cm 高台径9.3cm
ゆったりとした轆轤びきの、いかにも素朴な姿の壺です。 肩の二方に耳がつけられていますが、このような耳をもつ壺は唐津には少ないです。口縁に点斑文を点じ、 胴の前後に千鳥一羽と片輪車文を筆太に無造作に描いていますが、 美濃で焼かれた志野の絵文様の影響をうけており、 唐津としては珍しい文様です。 高台は低く、ざんぐりと削り出され、 赤い土膚はやわらかく全体に赤みをおび、 一方の耳は金繕いされています。たぶん甕屋の谷窯の作でしょう。
絵唐津 千鳥片輪車文 壺
高さ15.4㎝
口径十2.4㎝
胴径22.8㎝
高台径9.3㎝
形はまだ李朝風をとどめた素朴なものですが、肩に付いた二つの耳はかつてなかったもので、茶壺にならった新しい意匠かと思われます。
そういう新傾向は絵の題材において著しい。
筆太に大きく描き付けられた形は、どうやら王朝意匠の一つである片輪車を表したものらしい。
おそらくそれが何の形だかよく解らぬままに、絵手本から写したのでしょう。
普通の片輪車とは天地が逆になっています。
左手に描き添えたのは、これも王朝風の千鳥で、こちらの方は解って描いたらしく、伸び伸びとしています。
口縁の上に点々と鉄砂を散らしているのは、擂座のつもりだろうか。
甕屋の谷窯の作品と思われます。