交趾写菊花置上水指

交趾写菊花置上水指
Picture of 鶴田 純久の章 お話
鶴田 純久の章 お話
交趾写菊花置上水指
交趾写菊花置上水指

Hozen: water jar in the style of kōchi ware with chrysanthemum design
Height 16.0cm
高さ16.0cm 口径15.7cm 底径12.0cm
 図163の 「交趾写荒磯文水指」 と同形の水指ですが、これは青交趾と置上げの技法を重ねて用いた保全独特の作品です。口端をわずかに開いた筒形で、全体やや厚手に轆轤びきされ、胴裾には無造作に箟削りの跡が残っています。胴には鮮やかな緑釉がかかり、胴の二方に表菊と裏菊が大きく置き上げされています。図187の置上げの菊には透明釉がかけられていますが、この作品は釉をかけず、あたかも木地膚に胡粉で施す置上げの味わいを陶器の上に生かしています。胴裾から底にかけてやわらかな白土を見せ、底には糸切りの跡が残っています。底に「永楽」 の印が捺され、共箱の蓋表には 「交趾焼菊置「上ヶ 御水指」 底裏には 「印 善一郎造」と書付されています。善一郎の名称は弘化元年(1844) から嘉永元年(1848) 頃まで用いたと推測され、保全の全盛期にあたりますので、「善一郎造」 の作品はことに声価が高いです。

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