赤印尽茶碗 旦入

赤印尽茶碗 旦入
Picture of 鶴田 純久の章 お話
鶴田 純久の章 お話

Tannyũ: tea bowl with design of stamp marks, Red Raku
Mouth diameter 11.4cm
Raku Museum
高さ 8.7cm 口径11.4cm 高台径5.2cm
樂美術館
 楽家に伝わった旦入赤楽の典型作で、いわゆる印尽し茶碗です。
 腰から口部にかけて開きぎみに立ち上がり、五岳に作った口部は内に抱え込ませています。胴や腰に箟使いが多く、力感を誇示した作行きは入の特色といえます。高台もやや高く、中央に印を捺し、土見せにしています。口部から胴にかけて濃い緑の火変りが生じ、他は明るい赤楽に焼き上がって、火変りのなかに赤い斑文が散在しているのが鮮やかです。
 見込に一個、外側に五個、そして高台に一個の印を捺していますが、それは入が生涯に用いた印のすべてを捺したもので、俗に木楽印と呼ばれる印を腰に、隷書楽小印と行書楽印 (吸江印) をつないで一方の胴裾に、隷書楽大印を他方の胴裾に、さらに行書印(隠居判と呼ばれている) を高台中央に、一方の腰に 「十代喜愷」 の方形印を捺しています。隠居判は、弘化二年五十一歳の時に剃髪して購入を名乗ってから用いていますので、この茶碗は六十歳で歿するまでの晩年九年の間に作られたものです。

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