色絵 牡丹唐草文 蓋物

色絵 牡丹唐草文 蓋物
Picture of 鶴田 純久の章 お話
鶴田 純久の章 お話
色絵 牡丹唐草文 蓋物
色絵 牡丹唐草文 蓋物

通蓋高15.2cm 身高11.1cm 口径18.7cm 底径9.7cm
東京国立博物館
 従来古九谷と称されていたものであるが、その作風から推して初期の古伊万里赤絵と見るべきである。また、一部の研究家は、あるいは初期の柿右衛門ではないかと見ているが初期の柿右衛門と伊万里は今日の段階では明確に区別することができない。したがって、古伊万里の範鴫に含めるべきであると思われる。
 車軸のような紐をつけた蓋物で、生がけ焼成のためか全体にいささか歪みがみられる。蓋、身全面に赤、緑、黄と紫で牡丹が唐草風にあらわされているが、初期伊万里染付などに見られるものと共通した点があり、いわば初期伊万里染付の延長線にこのような赤絵が始まったことを明確に物語っている。製作年代はまだ判然としないが、おそらく正保から明暦頃、すなわち1640年代後半から1650年代前半にかけての作ではないかと思われる。さらに、これと似た作風のものが、それほど数多くはないが現存している。そして、それらはいずれも古九谷として扱われているが、はたして古九谷といえるかどうか、私はむしろ古伊万里として扱うべきものと考えている。

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