高さ7.9cm 口径10.2cm 高台径4.7cm
了々斎が「宗味焼クロ茶碗 徳若 左(花押)」と箱書付をしています。図70の宗味焼とはかなり作行きが異なります。高台の作りは小振りで、畳付はまるく。釉調も古楽のかせ膚とは少し異なります。
これらの、いわゆる利休形と異なった茶碗を「道安黒」あるいは「宗味焼」と呼ぶようになったのはいつ頃からか判然としませんが、いわゆる利休形長次郎焼の典型作ではなく、脇に置かれるものを宗味と判定したように思われます。また、これらが果たしてすべて長次郎の窯で焼かれたか、あるいは『宗湛日記』に記されている京窯で焼かれたか、今後の考究を待ちたいです。