茶家・茶加 チャカ

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鶴田 純久の章 お話

薩摩(鹿児島県)の方言で土瓶類を指します。
元来酒煎子であったものが庶民層に行きわたることによって次第に種々の用途を付加し、その用途に制約されて形状と大小とに変化を生ずることになりました。
茶家を大別して平茶家と山茶家とに分けます。
平たく膨れ上がったのを平茶家、丈が高く切り立つだのを山茶家といったのではないかとも思われますが、木こりが山行きに用いたのを山茶家といい、普通の茶家を平茶家といい出したものとみるのが妥当であるでしょう。
今日の用途からいえば、平茶家は地酒・焼酎などを温め、また茶出しにも用いられます。
橘南貼の1798年(寛政一〇)刊『西遊記』に「チョカは茶家の心にて土瓶のことなり、薩摩の方言なり、土瓶と云ひては知る人なし」と述べていますが、平茶家の用途は別に土瓶だけに限られていたのではないようです。
土瓶に用いるのは茶茶家と称し、通常は大型でやや丸く膨れた一種の茶家であります。
山茶家は一般に煮物用で特に大山茶家は飯を炊くのに用いられます。
『日本陶磁器証誌』所収の「高麗伝陶器起元製造書」には「山茶家と云有第一飯を焚て宜し何を煎てもよし」とあります。
山茶家はまた神仏に初穂を供えるためにも用いられ、お初茶家と呼ばれます。
山茶家・平茶家ともに三足を有し、直接火にかけてもよいです。
『西遊記』には「烈火にかけても破るxことなし」と書かれ、『高麗伝陶器起元製造書』は「火に掛て強し」と記しています。
平茶家は口と耳とが異なった高さのところに付いていて、この点普通の土瓶と大した相違はないようです。
山茶家は耳だけで口のないのが普通であります。
茶家の語源は琉球(沖縄県)から来たのだという説もありますが、朝鮮語の転誂したものとみるのが妥当であるでしょう。
(『西遊記』『日本陶磁器証誌』『工芸』コハ前田幾千代)

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