中国唐末五代の頃に呉越において焼出した秘色甕は、わが国に渡来して「ひそく」と呼ばれました。
諸記を参照すると玉のような青磁であることがわかります。
近来これに該当すると思われる越州青磁の遺品がいくつかの遺跡から発見されています。
『宇津保物語』に「ひそくの坏」、『源氏物語』末摘花に「御台ひそくやうのもろこしのものなれど云々」、『孟津抄』に「秘色今の茶碗也秘色は磁器越州より奉るもの也其色翠青にして殊にすぐれたり働て是を秘蔵して尋常に不用故号秘色云々」、『花鳥余情』に「李部王記に云う、天暦五年6月9日、御膳沈香折敷の四枚の瓶は秘色を用う云々」などという記録があるようで、いずれも青磁を指します。
※ひしょくよう