火襷・緋襷 ひだすき

火襷・緋襷
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鶴田 純久の章 お話

火襷・緋襷
火襷・緋襷

無釉の陶器に禅状の赤斑色があるものです。
平城宮跡・正倉院の奈良時代須恵器の杯・皿類にみるものが最も古いです。
灰色の地に褐色または淡褐色の条線が残っています。
これは重ね焼する時に間に藁を挾んだものとみられます。
備前伊部焼には天正年間(1573-92)の古備前から火禅の製品があったといわれます。
『日本陶甕史』によると「火禅きはその器を窯内にて焼くとき薪とともに塩を火れし空俵を投げ込みその塩気ある俵藁が器にとりつきたるとき生ぜしものにしてその模様は不規則にして自らなる味あるようで、後世には塩水に漬けおきたる藁縄をその器に絡みつけて焼きしかば規則正しき模様をなせり、しかしてこの人工的なるものに限り概ね白土なり」といいます。
天保年間(1830-44)尾張常滑の二代伊奈長三も白泥焼に塩藁を巻き付けて火禅を出しました。
アルカリ質の粘土には、塩分を藁に浸さずに藁だけを素地に巻き付ければ火禅となります。
磋酸質の粘土には塩気のある藁を巻き付けねば火禅にはならないようです。
ウルチ米の藁、餅米の藁、大麦、小麦でそれぞれに変わった火禅焼となります。
塩分より苦汁加里をこれらのものに浸すとよいです。

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