柳文様 やなぎもんよう

marusankakusikaku
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鶴田 純久の章 お話

イギリスでいわれるウィロー・パターン(WillowPattern)であります。
また比翼文様ともいいます。
意匠に小異はありますが、水辺の堂楼と島とがあって、中央に水辺の柳を描き、上に比翼の烏を配します。
この図案は中国の悲恋伝説より出たものです。
つまり某大官の娘と食客の青年とが人目を忍ぶ仲となったことを大官が知って、二人の仲を裂き娘を一室に監禁しました。
娘は窓外の柳架に悶々の思いを遣っていました。
大官は娘の監禁室と本邸とを結ぶ橋上に青年を連れ出し鞭で折檻しましたが・、二人の心を断つことができませんでしたので、ついに娘を離れ小島に流しましたが、青年は夜になると舟を出し二人の交情は誠にこまやかなものがありました。
大官はこれを知り怒髪天を突きついに火を放ちましたが、不思議にも燃えさかる焔の中よりつがいの鳥が飛び出して睦まじげに飛び去ったといいます。
十七、八世紀頃中国を旅行したオランダ人はこの伝説に興味を持ち、堂楼・橋・島・舟・柳・烏を配し、この物語を象徴した図案を試み、まずオランダの藍絵銅版にこれを施しました。
この図案は非常にヨーロッパ人に喜ばれたとみえ、イギリスにもその類品が多いのをはじめ、フランスにもまた同様の陶器があります。
さらに中国で輸出向きの製品に盛んにこの図案を施し、今日わが国でも輸出向きとして製造されています。

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