高さ19.2cm 口径18.5cm 底径17.8cm
原叟銘の千家名物信楽三水指の一として著名なもので、鮮やかな景色に因んで「三夕」の銘を表千家六世原叟覚々斎宗左が蓋表に書き付けていますが、それは寂蓮、西行、定家の三人によってうたわれている「秋の夕暮」の三名歌の心に通う味わいがこの一作のなかにある、という意味で名付けられたものであります。後に冬木家、松平不昧に伝来したものであります。矢筈口で口部外側をまるく取り、一段段をつけ、また胴裾に箆彫りを入れています。正面に白く灰釉がかかり、他は鮮やかな赤身に焼き締まっています。この種の水指のなかではもっとも傑出したものの一つでしょう。焼造年代は慶長頃と思われる。