須恵器 鳥鈕蓋付台付壺

須恵器 鳥鈕蓋付台付壺
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鶴田 純久の章 お話
須恵器 鳥鈕蓋付台付壺
須恵器 鳥鈕蓋付台付壺

Sue ware: tall-foot jar with cover surmounted by bird knob Excavated from Sumiyakidaira No. 14 Tumulus, Ichinomiya-machi, Aichi. 7th century.overall height 33.0cm. Ichinomiya Town Educational Commission.
愛知県豊川市大字東上炭焼平14号墳出土
7世紀
総高33.0cm 口径8.3cm 胴径14.6cm 底径12.6cm
一宮町教育委員会
 台付短頸壺の蓋の紐を鳥形にした装飾須恵器は、静岡・愛知・岐阜・三重など東海地方各県下の古墳 古窯跡から十例あまり出土しています。いずれも7世紀代に属するもので、まれに三羽の鳥をつけ静岡県蛭子森古墳例や壺の肩に三羽の鳥をつけた愛知県岩津1号墳のような例もないではありませんが、多くは一羽の鳥を蓋の紐にあしらったものです。いずれも水鳥を表現しており、三重県鳥羽例のごとく羽を開いたものもあります。
 それらのうちで最も端正な形をしたものが、この鳥鈕蓋です。
 尾羽を高く上げ、細い線彫りで鳥羽を表しています。台付壺の本体は二重沈線を境に上下二段に四方透かしを入れた台脚をもったもので、シャープな轆轤仕上げによる灰白色硬胎の優品です。鳥蓋の上面、肩に緑色の自然釉がかかっています。鳥は装飾須恵器の題材として好んで用いられたものですが、このような鳥鈕蓋付台付壺は伊勢湾周辺にのみみられる、きわめて地方色に富んだものです。
 日本武尊の白鳥伝説の生まれる背景の一端を示すものでしょう。

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