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鶴田 純久の章 お話

窯道具の一種。瀬戸系の窯場だけで用いられる語で、京都地方のサヤ、九州地方のボシ、朝鮮語のカッパル、中国の匣鉢はいずれも同一のものを指します。瀬戸地方ではまた「ゴー」ともいい京都地方でもこの語が用いられます。エンゴロの語がいつ頃始まったか証明できる文献はありませんが、中国の「陶説』の中に「円護篭」「方護篭」という二語があります。これは明らかに匣鉢のことであり、円形の匣鉢が円護篭、四角いのが方護篭です。これを訳を知らずに瀬戸の陶人が中国直輸入の用語を訛ってエンゴロと今に至るまで伝えているのでしょう。エンゴロそのものは古窯発掘の結果からすれ平安時代以前から用いられたものらしいです。平安時代と推定される猿投山西南麓古窯址群の中からもおびただしい数が出土しています。これからみる平安以前にすでに瀬戸系の窯場に大陸からエンゴロが伝わり、その名が千年以上も呼び継がれてきたことになります。瀬戸の窯の古さを物語る資料の一つとなりましょう。エンゴロに対してはまた掩護篭・円五郎などの字を当てます。俗説に円五郎という者が発明したものであるといいます。エンゴロを積み上げる時最下部の台となる非常に分厚いものをトコエといいます。まだ焼かないものをナマエ、円いものをマルエ、方形をカクエ、浅いものをアサエまたはヒラエ、深いものをフカエ、窯詰の時最も奥になるものをオクエと呼び、またエンゴロの蓋はエブタといいます。

エブタ

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