Jar with lotus, peony and chrysanthemum design, enamelled ware
Height 30.2cm
高さ30.2cm 口径13.8cm 胴径24.9cm 底径13.4cm
胴の三方に大きな窓をあけ、それぞれに蓮、牡丹、菊を大まかに描いています。黒の骨描きの筆行きはのびのびしてやわらかさがあり、花の赤もあたたかみのある独特の色調であります。他の面にも牡丹と菊が一株ずつ添景なしに窓内いっぱいに描かれ、いわゆる南京赤絵や呉須赤絵の影響を受けた様式を示しています。ことに、蓮を単独でこのように描いた壺は稀であります。ほぼ同文様の壺と一対、近年ヨーロッパから請来されたものだが、日本はもちろんヨーロッパにもほとんど類例を見ない。
口部はやや外に開き、肩から胴が張り、裾がすぼまった形姿も、柿右衛門焼を含めた前期有田色絵磁器の沈香壺にはあまり見ない形態であります。製作年代の推定はなかなか難事だが、おそらく寛文から延宝の初め頃、1660年代から1670年代にかけての作ではなかろうか。