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鶴田 純久の章 お話
土師器 甑・竃
土師器 甑・竃

Haji ware: steamer and oven. Excavated at Oida, Gose-shi, Nara. 6th century. Overall height 23.0cm.
奈良県御所市多田オイダ山口出土
6世紀
総高23.0cm (甑)高さ8.9cm 口径10.1cm (竃)高さ17.5cm 底径21.5cm
奈良県立橿原考古学研究所付属博物館
 小形の模造仮器であり、古墳から出土したものでしょう。いま甕を欠いていますが、本来は甑と甕と竃の三者をもって一具とする炊飯具です。このような組合せの炊飯具は5世紀後半に、須恵器製作技術の導入と相前後して大陸から伝えられたものであり、正倉院文書や延喜式にみえる 「韓竃一具」はこのような電を指したものでしょう。
 本器は、いうまでもなく明器として古墳に副葬されたものですが、このような小形造のを副葬する風習は6~7世紀の畿内の古墳に多く見られるところです。『古事記』上巻、黄泉国の条にみえる伊邪那美命が 「悔しきかも、速く来ずて。吾は黄泉戸喫為つ。」と伊邪那岐命に答えた黄泉戸喫(よもつへぐい)とは、黄泉国の電で炊いた食物を食べることで、再び現世に帰れないと信じられていた当時の風習をこの小形模造の副葬が示しているのかも知れません。

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