Picture of 鶴田 純久の章 お話
鶴田 純久の章 お話
灰釉 水瓶
灰釉 水瓶

Ash glaze pottery: bottle vase. Excavated at Agi, Nakatsugawa-shi, Gifu. 9th century. Height21.7cm. Nakatsugawa Municipal Educational Commis-sion.
岐阜県中津川市阿木出土
9世紀
高さ21.7cm 口径4.6cm 胴径10.1cm 底径6.7cm
中津川市教育委員会
 昭和四十六年、中津川市阿木公民館の建設工事中に、同敷地から発見されたもので、惜しくも二つに割れていますが、よく形を保っています。素地は鉄分の多い、やや粗い土で、黒褐色を呈します。シャープな轆轤仕上げで、卵形の胴やつよく張った高台のつくりは奈良時代の佐波理の水瓶の姿をよく写しています。しかし、肩の張りを失っている点からみて、9世紀代に降る年代を与えるべきでしょう。
 灰釉は口頸部から胴下半の一部までたっぷり厚くかかっています。
 これが人工釉であることは、外反する口縁部の内外両面に灰釉のかかっていることからみてあきらかです。素地の色に影響されて釉の色調は青味を帯びた灰黒色をしており, けっして美しいものとはいえません。しかし、水瓶 浄瓶など当代の初期灰釉は釉が安定せず、とくに長年土中にある場合、剥落し易く、本器のようによく灰釉の原状を留めている例はまれです。胎土釉調からみて、猿投窯の作品と考えられます。

前に戻る
Facebook
Twitter
Email