Picture of 鶴田 純久の章 お話
鶴田 純久の章 お話
灰釉 長頸瓶
灰釉 長頸瓶

Ash glaze pottery: tall-neck jar. Excavated from Sanage Ceramic Kiln, Aichi 10th century. Height 30.0cm.
愛知県猿投窯出土
10世紀
高さ30.0cm 口径13.5cm 胴径20.6cm 底径12.4cm
五島美術館
 灰白色の、耐火度の高い良質の土を用い、水挽き轆轤によって成形されたもので、口頸部と肩は直接つないだ二段構成のものです。
 肩の張りを失い、底部のやや大きくなった身や、大きく口縁部の開いた太い口頸部の形状からみて、その製作年代を10世紀前半代に求めることができる。この段階には轆轤技術は前代に比べてやや低下し始めています。灰釉は口頸部および肩に刷毛で塗られており、よく熔けて胴下半に流下して、末端に釉溜りを生じています。焼き上がりはきわめて良く、酸化気味の中性焰で焼かれていて、釉は黄緑色を呈し一部白濁化しています。この時期は灰釉長頸瓶が多産された時期であり、高さ30cmをこえる大形のものが沢山つくられています。本器は大形灰釉長頸瓶のうちでもっとも優れたものの一つです。

前に戻る
Facebook
Twitter
Email