Gotō Art Museum.Jar with four handles. 8th century. Height 19.5cm.
8世紀
高さ19.5cm 口径12.8cm 胴径24.5cm 底径12.8cm
この種の四耳壺の肩が稜を描いて屈折するようになるのは8世紀なかごろ以後のことであるが、本器のごとき角耳や胴の形状、高台のつくりからみて、その製作年代を8世紀後半とみることが妥当でしょう。
素地は細緻な、ねばりのある土で、鉄分を含み、全面に茶褐色の火色がでています。その土味からみて、尾張産かと考えられます。轆轤水挽き成形で、端正な形をしています。焼き上がりはきわめて良く、肩の全面に濃緑の自然釉がかかり、溢れて胴に流下しています。肩の一部に窯内での落下物が付着しています。釉がところどころ剥落しているのは長年土中にあったことを示しており、おそらく蔵骨器として使用されたものでしょう。軟らかい土味にもかかわらず、その端正な形状や肩にかかった濃緑釉がこの壺に一種の力づよさを与えています。奈良時代末の四耳壺中の優品の一つです。