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鶴田 純久の章 お話
灰釉 壺
灰釉 壺

Ash glaze pottery: jar. 9th century. Height 25.6cm. Registerd as Important Cultural Property. Fukuoka Municipal Art Museum.
9世紀
高さ25.6cm 口径12.2cm 胴径30.7cm 底径17.2cm
重要文化財
福岡市美術館
 立ち上がりの低い、小さくなった口頸部、肩の張りを失った球形の胴、低いがまだ力づよく裾の張った高台の形状から推して、この壺の製作年代を9世紀前半に求めることができる。やや鉄分を含んだ耐火度の高い土を用い、見事な轆轤成形を示しています。高火度焼成によって、高台の一部に焼き歪みを生じていますが、全体の焼き上がりはきわめて良好です。口頸部から肩の全面にかかった灰釉が胴下半に滝のように流下して一部高台におよび、この壺に力感を与えています。釉間にあらわれた素地の火色からみて、この壺が愛知県猿投窯の作品であることが知られます。この壺はいっぱんには「自然「釉時雨壺」の名称で知られていますが、単なる自然釉では口頸から肩全面にこのように奇麗にかかることはありません。この時期の猿投窯では、水瓶浄瓶などの仏器類および本器のような大形短頸壺にはほとんど原始灰釉が施されています。灰釉は器全面に施されるわけではなく、口頸および肩から胴の一部にかけて施されるのが通例です。猿投窯産灰釉短頸壺としては最高傑作の一つでしょう。

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