絵唐津 菖蒲文 鉢

高さ11.3cm 口径16.1cm 高台径7.6cm
サントリ-美術館
　開き気味にすっきりと立ち上がった鉢で、口は端反りに、大振りの高台は高く削り出され、 高台内の削り込みも深いです。胴には一方に菖蒲文、他方には芒と草花の文様を奔放にあらわしています。 これもまた唐津の鉢のなかでは優作の一つで、 類例は他に見ません。 高台まわりは赤いざんぐりとした土膚を見せています。 おそらく市ノ瀬高麗神窯の作でしょう。

絵唐津菖蒲文鉢

高さ11.3㎝
口径16.1㎝
高台径7.6㎝
サントリー美術館
　めりはりのよく効いた手強い作品で、端反の口緑から直線的に斜降する胴が、腰のあたりでかっきりと切れ込んで高台にいたる。
高台は逆に激しく撥状に開き、たけも高く、要するに成形の時の高台の削り出しの鋭さが、この鉢の性格を決定づけたのであります。
速い力の強い轆轤ならではの作といえましょう。
高台内の削りも深く膚が縮れていますが、兜巾は立っていないようです。
短いタッチでぐいぐいと描かれた菖蒲の絵が、よくこの形に合って、裏側の薄と野草の絵も素朴かつ雄渾であります。
「絵唐津菖蒲文大皿」の肌と同じく、市ノ瀬高麗神窯の産と見られます。