Echizen ware: jar with three handles. Excavated at Obama-shi, Fukui. 13th century. Height 34.7cm. Aichi Prefectural Ceramic Museum.
福井県小浜市出土
13世紀
高さ34.7cm 口径(現) 12.4cm 胴径30.0cm 底径11.5cm
愛知県陶磁資料館
小浜市在の中世墓地から出土したといい、惜しくも口縁部を欠失していますが、わずかに外反するラッパ状の口頸部かと思われます。細くしまった頸部、力づよい肩の張り、底部に向けてすぼまった胴下半の形から推して、その製作年代は鎌倉時代中期を降るものではあありますまい。肩に引いた一条の沈線上に古瀬戸風の横耳三個を付けています。肩の口頸部との付根に、箟描きによる剣菱文を、また三耳の間に沈線に沿って杉葉様の刻文を配します。さらに一箇所、大きな枝ぶりの松樹と樹下に草をあしらった刻文があります。正面を意識したものでしょう。鎌倉期の越前陶に、耳を有するものはきわめて稀ですが、三耳の間に刻文を配する風は渥美 丹波 珠洲などにみられるところで、越前陶におけるその好例でしょう。やや砂質分の多い胎土で、内外面とも横ナデによる丁寧な器面調整を施しています。焼き上がりは比較的良く、肩に薄く越前特有の黄緑色の自然釉がかかっています。