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鶴田 純久の章 お話
越前 壺
越前 壺

Echizen ware: jar. Excavated in Fukui. 13th century. Height 38.0cm. Mizuno Museum of Old Ceramics.
福井県出土
13世紀
高さ38.0cm 胴径36.0cm
水野古陶磁館
 惜しくも口頸部の約半分を破損欠失していますが、鎌倉時代の越前大壺をといわれれば、何人といえど本器を推すのにやぶさかではないでしょう。越前陶としては比較的砂質分の少ない良質の土を用いており、よく焼き締まった赤肌に、口縁から肩にかけて濃緑の自然釉がたっぷりとかかり、その一部が胴下半に流下して景趣を添えています。形状あたかも常滑大壺を彷彿させますが、小さくしまった口頸部や口縁帯のつくりは越前独特のものです。肩に十字形の描き刻文を有することも越前の特色です。肩のつよい張りや口縁部の形状、大きさに比して小さな底部の形状から推して、その製作年代を鎌倉時代中ごろにおくことができましょう。常滑に発し、越前の特色を出し始めた初期の作品といえましょうか。

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