鎌倉時代蒔絵物かは香合 かまくらじだいまきえものかわこうごう

鎌倉時代蒔絵物かは香合
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鶴田 純久の章 お話
鎌倉時代蒔絵物かは香合
鎌倉時代蒔絵物かは香合

 「物かは」というのは、『新拾遺集』の「物かはと君が言ひけむ鳥の音の今朝もなどか悲しかる覧」の歌意によるもので、甲には一樹から出た二つの枝に、雌雄の鶏が向かい合って止まっており、また左右の胴紐の銀金具が「物」と「かは」の文字をとってつくられている。
 総体に梨地で、二羽の鶏は金と銀の平板がはめ込まれている。蓋裏には鐘楼の蒔絵があり、形は面箱式で稜は入角唐戸面となっている。元来は伽羅箱として生まれたもののようで、茶の香合として用いるならば最も格調の高いものとなろう。
初期の蒔絵の代表作として、工芸的にきわめて貴重な存在である。
【寸法】 高さ:60 蓋径8.6 胴径:7.6
【所蔵】 陽明文庫

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