芦屋釜。
口造りは広く、わずかに繰口としている。
胴は低く、幅広い羽を付けた平釜で、天命釜に多くみられるが、これは胴周りに高台寺蒔絵風の秋草を細線で現わし、羽に引手風の弓張形鐶付を付けている。
蓋は室町時代の鏡を改造したものを利用している。
「平蜘蛛」の名は、釜の形姿があたかも蜘蛛がはいつくばっている姿に似ているところから付けられた。
天正五年、松永弾正が織田信長に敗れ信貴山城で自殺するとき、秘蔵の「平「蜘蛛釜」を信長に奮われることを拒んで打ち破った話は有名である。
利休以降、この種の釜は好まれたらしく、茶会に多く使用されている。
【寸法】 高さ:16.0 口径:19.0 胴径:35.2 底径:17.7