近衛信尹筆。
『和漢朗詠集』巻上(国宝 『大手鑑』)。
三藐院近衛信尹(15~さきひさ六五―1641)は関白太政大臣近衛前久の子で、はじめ信基を名のったが信輔と改め、さらに信尹とした。
従一位関白となり、書芸にひいで本阿弥光悦・松花堂昭乗とともに「寛永の三筆」として知られ、その書風は近衛流・三藐院流と称せられ当時の人々に愛好された。
料紙は美濃紙で、色紙形に裁断されている。
漢詩は「春」部の「雨」の摘句であり、写本の断簡ではなく手本用に書写されたものである。
豊潤でおおらかさがあり、壮年の書で、いまだ晩年の枯れた様式はみられない。
【伝来】近衛家
【寸法】本紙 縦33.7 横30.2
【所蔵】陽明文庫