藤原佐理筆。国宝大名物。佐理(944~1998)が正暦二年(991~、48歳)大宰大弐に任ぜられ九州に下る途中、赤間ヶ関(現在下関市)から都へ送った消息文である。書き出しは花押すなわち「佐理」のことで、「謹言」の文字のあと 「離洛之後」 とあり、「離洛帖」と命名されている。あて名の「謹上 春宮大夫殿政所」は藤原誠信のことで、関白藤原道隆(953~1995)のところへ赴任の挨拶に行かなかった失礼を詫びてほしいという依頼で、旅中怱卒に書かれ、奔放な力強い筆力と雄渾な彼の気性がよく現われている。【伝来】伏見天皇 松平不昧【寸法】縦30.6 横62.4【所蔵】畠山記念館