
古瀬戸 中興名物
付属物 蓋一 窠なし 仕覆四 仕覆箱 桐白木書付 小堀遠州筆
仕覆外箱一 閑張 朱漆書付 松平伊賀守筆
挽家一 杉木地 漆拭き
内箱 桐白木書付 小堀遠州筆
外箱 黒一閑張 朱漆書付 松平伊賀守筆(あふことはまはらにあめる伊よすたれ いよ我をわひさするかな)
色紙 小堀遠州筆 添掛物 小堀権十郎筆
掛物箱 桐桑接合 書付 同外箱 一閑張書付 松平伊賀守筆
伝来
小堀遠州―小堀政恒―土屋相模守―松平伊賀守─赤星家
所載
名物記 遠州拾遺 土屋蔵帳 名物目利聞書 遠州百会記 大正茶道記 大正名器鑑
寸法
高さ:6.8cm 口径:2.8cm 胴径:5.75cm 底径:3.0cm 重さ:85g
この茶入は、銘のごとく古瀬戸中の侘び物の逸品である。伊予簾の銘は歌銘による。この形は、下臓にすぼんだ小肩衝とでもいうべきか。好んで古瀬戸の窯から出ている種類である。
瀬戸釉ロべりに黒くたまり、全体にむらむらとした間から、自然に集まって前になだれとなった黒釉が置き形であろうか。愛蔵家に手なれて味わいよくなった土味も、またえもいわれぬ侘びの景色である。
仕覆は、この茶入の名に因んだ本歌伊予簾切をはじめとして、金襴、純子すべて四個を取り合わせて奥ゆかしい。






添掛物 小堀権十郎筆
昔年亡父孤篷庵主、小壺をもとめ
伊よすだれと名付其かたちたとへば、
あみ笠といふものに似り。物ふりて
わびし。是故に古哥を以て、
あふことはまばらにあめる伊よ簾
いよ我をわびさするかな
我おろかなるながめにも、これを
おもふに、忽然として忙しきすがた
あり。又寂寞たり。まことなるかな。
青苔日々にあつくとあるもしかなり。
年月をふるといへども、事とふ
人もなく、安閑の境界は却面
楽をまねき、富貴をねがはず。
我まどはぬ年をえて秋の夜
ながきに老のねざめのつれくに
おもひ出てしるし侍る。



