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春慶 玄

春慶 玄(しゅんけい げん)

男爵 益田孝氏 所蔵

名称の由来・解説
「玄の又た玄(奥深く不可解で極めて深遠なるもの)」。小堀遠州の意図した意趣であり、編者もまたこれを言葉で説明し尽くすことはできない。

寸法(センチメートル・グラム換算)
高さ:約5.6 cm(1寸8分5厘)
胴径:約7.9 cm(2寸6分)
口径:約3.9 cm(1寸3分)
底径:約3.6 cm強(1寸2分強)
甑(こしき/立ち上がり):約0.76 cm(2分5厘)
重量:約106.9 g(28匁5分)

付属品
・蓋:1枚(窠なし=裏のくぼみがないフラットな蓋)
・仕覆(袋):1つ
 (白茶地清水切、かがり糸は藤色、裏地は玉虫色)
・袋箱:桐 白木
 (表:「春慶玄 同袋」、裏:「宗甫所持箱」の書付、同筆)
・内箱:桐 白木
 (「春慶 玄」小堀遠州の書付)
・外箱:桐 白木
 (「春慶手 玄」)

雑記・記録の参照
・「春慶手 玄 甫公筆」(『遠州蔵帳』より)
・「瀬戸大海 玄 宗甫公御書附」(『遠州蔵器財写』より)

実見記(現物を実際に観察した記録)
大正9年(1920年)7月18日、東京府下品川御殿山の益田孝男爵邸にて実見した。
口づくりの線は丸みを帯び、甑(首の立ち上がり)は低く、肩はなだらかな撫で肩である。胴には沈み筋(凹線)が一条ぐるりと巡り、腰から下は急速にすぼまっている。「柿形」の茶入にも分類できず、「大海」の茶入にも当てはまらない独特の形状である。
裾から下は朱泥色の素地を見せており、底の糸切りは渦状に鮮明に残り、片隅に小さな釉飛びがある。
全体的には柿色から金気を帯びた黄味入りの黒釉が様々な模様を描き出し、内部は口縁のみ釉薬がかかり、それ以下は粗い轆轤(ろくろ)目が続いている。底の中央は渦状をなしている。胴体にはポツポツと小さな竈孔(ピンホール/窯傷・窯穴)があり、また裾の素地部分に土ホツレ(小さな欠け・へこみ)が2〜3箇所見られるが、割れなどの欠損のない無疵(むきず)であり、見どころ(景色)が非常に面白い優良な茶入である。

【原文】

春慶 玄

男爵 益田 孝氏 藏

稱名
玄之又玄。遠州の意中。編者も亦之を説く能はす。

寸法
高 壹寸八分五厘
胴徑 貳寸六分
口徑 壹寸參分
底徑 壹寸貳分強
甑高 貳分五厘
重量 貳拾八匁五分

附屬物
一蓋 一枚 窠なし
一袋 一つ
白茶地清水切 裏つがり藤色 玉虫
一袋箱 桐 白木
表 春慶玄 同袋
裏 宗甫所持箱 書付 同筆
一内箱 桐 白木
春慶 玄 書付遠州
一外箱 桐 白木
春慶手 玄

雜記
春慶手 玄 甫公筆。(遠州藏帳)
瀬戸大海 玄 宗甫公御書附。(遠州藏器財寫)

實見記
大正九年七月十八日、東京府下品川御殿山益田孝男邸に於て實見す。
口作丸線にて甑低く肩撫で、胴に沈筋一線を繞らし、腰以下俄に窄まる、柿にも附かす大海にも附かね一種の形式なり、裾以下朱泥色土を見せ、渦糸切鮮明にして、片隅に小さき釉飛びあり、總體柿金氣色に黄味を帶びたる黒釉種々の模様を現はし、內部口縁釉掛け、以下轆轤目荒く續り、底中央渦状を成す、胴體にボツ/\と小さき竈孔あり、又裾廻り素土中に土ホツレ二三ヶ所あり、無疵にて景色面白き茶入なり。

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