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鶴田 純久の章 お話
赤茶碗 銘横雲 086

高さ8.Icm 口径9.8cm 高台径5.7cm
 古来、長次郎外七種のーつとして著名な茶碗で。俗に仙叟箱といわれる独特の箱に収まり、立ち上りの高い身の胴に仙叟が「利休所持 横雲赤茶碗 長次郎焼 千宗室(花押)」と書き付けています。しかし茶碗の作行きは「大クロ」「無一物」あるいは「二郎坊」などと比べるとかなり異なり、果たしてこの茶碗が利休所持であり、天正十九年以前に焼かれたものであるか否かは判然としません。しかし、後世の作ではなく、やはり長次郎焼のなかにこの種のものがあるように思われます。小振りの赤楽茶碗で胴を僅かに締め、高台は低く、高台内の削込みも浅いです。高台の作りは「聖」とどこか似ているところがあります。釉がかりは厚く、釉膚には気泡孔がー面に散在している、中箱蓋表には「雲」の一字、蓋裏には「利休横雲赤茶碗 長次郎焼仙叟宗室書付アリ 如心斎(花押)家原氏参」と如心斎が沓付しています。

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