真中古 まちゅうこ

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鶴田 純久の章 お話
真中古 まちゅうこ
真中古 まちゅうこ

尾張瀬戸の陶工二世藤四郎基通。
初め藤次郎、一説に藤九郎または藤五郎。
文永年間(1264-75)本家を相続しました。
多く黄瀬戸・伯庵手類をつくりました。
世にこれを真中古と呼んで景正の古瀬戸と区別します。
真中古窯茶入の特色は口造りが華奢で、土は白色または白浅葱色、また極めて淡い赤色のものもあるようで、少し砂気を交えています。
糸切は荒く、上釉は柿色または薄柿色。
上釉は黒色釉だが多くは黄釉のなだれに黒釉のハミダシがあったりまた銀梨地の吹き出し釉のあるものもあります。
次に黄釉手の茶入はその土が真中古手のものと異なり淡赤色の中に少し黒味があります。
下釉は淡い栗色、中に淡柿色のものもあります。
その上に艶のない濃い黄釉が掛かっています。
そしてなだれたのもありなだれをなさないものもあります。
品はよいです。
そして真中古窯の作として野田手・橋姫手・思河手・大瓶手・大覚寺手・面取手・小川手・藤四郎・柳藤四郎・糸目藤四郎・虫咀藤四郎などが挙げられます。
なお真中古窯の作品を単に藤四郎と呼ぶことがあります。
さらに二世に祖母懐窯で焼いたと伝える茶入があります。
「祖母懐」の項参照。
(『古今名物類聚』『本朝陶器孜証』『茶道笙蹄』『工芸志料』『高麗茶碗と瀬戸の茶入』)

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