真中古茶入、藤四郎春慶ノー手。
雪柳はその景色によそえての銘。
本歌は村瀬家所持の雪柳春慶。
土は濃鼠色で、赤色土もあるようで、糸目のように轆轤の引目があります。
糸切はこまかく尋常であるようで、口造りはよく、捻り返しの先が薄くみえます。
下釉は濃飴色で艶がよいです。
上釉は幾筋も入れ違って流れがあるようで、釉の色は飴色で赤味のあるのに黄釉が入り混じって掛かります。
なだれ釉のうつろいが白く見えて柳の枝に雪が降り掛かったようで見事な釉立ちであります。
ただしなだれの釉が少し高く見えます。
姿は図のように薄手につくり細工よく上釉もよいです。
上々の作で無類の茶入であります。
(『茶器弁玉集』『茶道叢書』)